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【書店様向け】注文書作成

糖尿病のある人(person with diabetes)の診かた

編集:寺内 康夫 

判型
A5
ページ数
208ページ
本体価格
3,600円
ISBN
9784498223066
発売日
2025年 3月 28日

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  • 内容紹介
  • 目次
  • 本書は,「糖尿病“患者”」という言葉を出来るだけ使わずにつくられています.糖尿病のある人(person with diabetes:PwD)の寿命が伸びてきている昨今,糖尿病との因果が確定している疾患:合併症(神経障害・網膜症・腎症,冠動脈疾患・脳血管障害・末梢神経障害など)の診療はもちろん重要です.一方で,糖尿病に起因しない(もしくは関与が少ない)加齢や環境要因によって生じる疾患:併存症・併存疾患について,糖尿病の延長線上で考えてはいないでしょうか.そのような考えでは,「糖尿病治療に際して真面目に取り組んでこなかったから合併症・併存症が起きた」という呪いの言葉が容易に生まれます.「患者」という言葉を捨て去ることで,それを当然とする世界から脱却できるかもしれません.PwDが糖尿病のない人と変わらない寿命とQOLを目指すために,エキスパートが何をどう実践しているか,ぜひご覧ください.

  • 目次
          
    企画趣旨〜糖尿病のある人(person with diabetes:PwD)の診かた〜〈寺内康夫〉    

    CHAPTER 0 糖尿病をもつ人の治療目標・目的としてのQOL〈石井 均〉   
     1 糖尿病をもつ人(person with diabetes)という呼び方がもたらす大きな意識改革   
     2 日本の医者の態度はどうだったのか,どう変わろうとしているのか ─革新性の理解のために    
     3 糖尿病をもつ人という立場から見た糖尿病治療の目標と目的     
     4 HRQOL(health related quality of life)とは具体的にどんな機能や状態を言うのか 
      1 医学的な概念としてのQOLが含む事象     
      2 QOL質問紙の種類     
      3 QOL測定(PROを含む)はなぜ重要なのか─HbA1c以外の何を伝えるか     
     5 糖尿病をもつ人の寿命とQOL ─糖尿病と治療の重要なアウトカム指標のエビデンス    
      1 寿命(生存年数)     
      2 QOL─それぞれの治療段階のアウトカム指標としてのQOL     
       2-1 日々の治療のアウトカム(第1段階)としてのQOL     
       2-2 中期的目標(第2段階):合併症がQOLに与える影響     
       2-3 長期的目標(第3段階):糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL     
      3 QOLの全体像─QOLはアウトカムであると同時に予測因子である     
     6 医療者とPwDとの関係によってQOLが向上する ─ person centered care(collaborative care)につながる要因(PROも含めて)
      1 「エンパワーメント」や「健康リテラシー」とQOL     
      2 治療への自信(self efficacy)とQOL ─自信を育てるような関わり方が重要である   
      3 医療者によるスティグマとQOL     
      4 医療者との関係─治療法について十分議論できているか(コミュニケーション)とQOL     
      5 まとめ─「糖尿病をもたない人と変わらないQOL」の維持は実現可能である     
     7 医師(医療者)の言葉と態度と共感     
      1 病をもつ人と関わっていくときの姿勢,態度,考え方:患者-医師関係(The Patient Physician Relationship)  
      2 言葉の重さ     
     8 合併症や併存症がある方にとっても(糖尿病をもつすべての人の)QOLが高くなるようなケアをしよう     
      1 合併症をもつ人への治療,身体障害をもつ人へのケア     
     9 まとめ 糖尿病医療学─糖尿病をもつすべての人へのケアとQOL    

    CHAPTER 1 糖尿病合併症・併存症を見つける〈山川 正〉   
    section 1 糖尿病のある人についての初期の初期    
     1 糖尿病と診断されて間もない患者を受け持ったら     
      1 糖尿病のさまざまなステージ     
      2 “糖尿病”の受け止めについて     
     2 診察のポイント     
     3 糖尿病合併症(細小血管症,大血管症)をどう説明するか     
      1 急性合併症について     
      2 慢性合併症について     
     4 糖尿病の併存症をどうやって説明するか     
     5 糖尿病の初期の治療戦略     

    section 2 糖尿病合併症の予兆・発症を見つけ出す〈南 太一〉   
     1 肝障害について     
     2 腎障害について     
     3 脂質異常症について     
     4 症例提示     

    section 3 糖尿病併存症の予兆・発症を見つけ出す〈田島一樹〉    
     1 症状別の想起・予防すべき併存症     
     2 その他,意識しておくべき疾患     

    CHAPTER 2 糖尿病合併症・併存症をコントロールする(糖尿病からの視点)    
    section 1 HbA1c高値が続くときの糖尿病診療〈北谷真子〉    
     1 血糖値が高い状態が続くのは,療養行動を「しない/できない」からではなく,「しない/できない理由,事情がある」からである     
     2 血糖高値の真の理由に迫りながら,患者さんとともに治療を進めるために ─糖尿病治療の2つのアプローチ,相互参加モデルとその盲点,困難さ    
     3 患者中心アプローチの実践 ─病棟での心理カンファレンス開催とそこから得られた学び    
     4 実際の症例へのかかわり─行き詰まったときの入院のススメ     
     5 Aさんと私たちの2週間を振り返る─行動変化ステージモデルの観点から     
     6 最後に 血糖値が高いままでも「患者中心」をあきらめない    

    section 2 合併症・併存症の新規発症に注意〈山?真裕〉    
     1 糖尿病と診断されたとき     
     2 合併症・併存症の早期発見のために     
     3 医療を行う場を作ること     
     4 チーム医療の役割     
     5 合併症・併存症の新規発症のそのあとに     

    CHAPTER 3 糖尿病合併症・併存症をコントロールする(合併症・併存症からの視点)    
    section 1 疾患別対応〈細井雅之,玉井杏奈,井坂吉宏〉    
     1 症例提示:腎機能障害をきたした肥満2型糖尿病男性     
     2 ギャップの理由 その1:バーチャルな病気     
     3 ギャップの理由 その2:現在バイアス     
     4 ギャップの理由 その3:つなぎの欠如     
     5 合併症・併存症の診かた その1:PwDと医療者のギャップ     
     6 合併症・併存症の診かた その2:関係性を保つ ─そこに糖尿病医療学が必要    
     7 合併症・併存症の診かた その3:糖尿病連携手帳の活用     
      1 糖尿病連携手帳について     
      2 糖尿病連携手帳のちから     
      3 便潜血のすすめ     
     8 合併症・併存症の診かた その4:チャート式糖尿病人生航路 ─「ゆるやかな法則からwell-beingへ」    

    section 2 マルチモビディティについての考え方〈?橋謙一郎〉    
     1 マルチモビディティとは?     
     2 糖尿病におけるマルチモビディティ     
     3 糖尿病診療でよく見られるマルチモビディティのパターン     
     4 マルチモビディティのエッセンス,診療のこつ     

    CHAPTER 4 糖尿病合併症・併存症と付き合う    
    section 1 総論〈皆川冬樹〉    
     1 これから起きる可能性のある合併症・併存症について     
     2 悪化してしまった状態を最初からPwDに意識させる必要性はあるのか?     

    section 2 各論 COVID-19を罹患した糖尿病のある人〈南 太一〉   
     1 COVID-19クラスター感染により災害医療を行わなければならない状況となる     
     2 COVID-19肺炎罹患時の糖尿病治療の困難さ     
     3 COVID-19肺炎罹患時の糖尿病治療の提案     
      1 目標血糖値について     
      2 COVID-19肺炎罹患時に推奨される糖尿病治療:インスリン療法     
     4 COVID-19肺炎に罹患する前の糖尿病治療     
      1 COVID-19肺炎は糖尿病のある人において重症化しやすい     
      2 COVID-19パンデミック下での糖尿病治療     
     5 糖尿病だったからCOVID-19が重症化したのだろうか     

    section 3 各論 悪性腫瘍ターミナル期の糖尿病をもつ人〈山?真裕〉    
     1 病をもつ人への医療者の態度     
     2 悪性腫瘍と糖尿病をもつこと     
     3 悪性腫瘍と血糖マネジメント     
     4 悪性腫瘍ターミナル期のスピリチュアル・ケアとしての血糖マネジメント     
     5 糖尿病だったから悪性腫瘍が治らずターミナル期となったのだろうか?     
     6 ターミナル期を診る糖尿病医療者の存在意味     

    section 4 各論 認知障害が進行した糖尿病のある人〈山田佳彦〉    
     1 認知症とは     
     2 進行した認知症の問題点     
     3 糖尿病と認知機能障害     
     4 認知機能が低下した高齢者の治療目標     
     5 認知機能障害が進行した糖尿病のある人へのかかわりと支援     

    CHAPTER 5 糖尿病のある人に対するコーチング〈松澤陽子〉    
     1 コーチングとは     
     2 コーチングの構造と基本スキル     
     3 コーチングサイクル     
     4 スキルを支えるコーチングマインド     
     5 コーチングの限界と糖尿病医療     

    CHAPTER 6 私はこう考える    
    section 1 糖尿病センターの掟〈八幡和明〉    
     1 病態の評価表     
     2 退院時の色紙     

    section 2 糖尿病のある人と向き合う医療者に求められること〈関根 理〉   
     1 自己中断のリスクがある糖尿病のある人へのかかわり     
     2 感情負担(スティグマに伴う)が強い糖尿病のある人へのかかわり     
     3 糖尿病のある人と向き合う医療者に求められるもの     

    section 3 患者さんの人生を支えるということ〈手納信一〉    
    ●緒言 患者さんが医療に求めるもの     
     1 生きる意欲のない患者さんとの出会い     
     2 実践しようとしていること     
      1 Listen to the patient  
      2 語りの前提となる信頼関係を築く     
      3 聴くこと     
      4 共感(言葉や行動をジャッジしない)     
      5 自分の心と違ってはいけない     
      6 適切な返し     
      7 Informed choice    
      8 患者さんの人生は患者さんのもの     
      9 信じて待つ     
      10 患者さんをトータルに診る     
    ●おわりに 施設全体で患者さんを支える姿勢     

    section 4 病院のなかの,糖尿病のある人とのお話の場である談話室(以前は診療室と呼んでいました)〈川地慎一〉    

    section 5 初診時の診察(熊倉医院の場合)〈熊倉 淳〉   
    共感力?      
    歴史・背景を知る(あなたはどういう人なのか知りたい),聴くこと,物語の準備      
    糖尿病についての情報を提供する(あなたは糖尿病についてどれだけ知っているのか知りたい)      
    今後の治療方針について相談する(待つこと)      
    定期受診の際に聴くこと      
    スタッフに感謝する      
    患者さんのことば      
    ●さいごに─診療は愛だ!      
          
    索引

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