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同種造血細胞移植後フォローアップ看護(改訂第2版)

編集:日本造血細胞移植学会 

判型
B5
ページ数
196ページ
本体価格
4,200円
ISBN
9784524249190
発売日
2019年 9月 25日

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  • 内容紹介
  • 目次
  • 日本造血細胞移植学会編集による看護師向け公式テキストの改訂版.同種造血細胞移植をめぐる現状,移植後合併症の基礎知識,移植後の外来フォローアップにおいて必要な知識・技術を各分野のエキスパートが詳細かつわかりやすく解説.今改訂ではがん対策推進基本計画(第3期)への対応といった情報更新に加え,合併症重症例の写真を充実させた.

    【はじめに】
     1980年代の近代的移植の幕開けから、骨髄・さい帯血バンクの整備、移植法やその支持療法の目覚ましい進歩に支えられ、同種造血細胞移植は多くの難治性造血器疾患の根治療法として盛んに施行されてきた。そして、移植件数増加とともに多くの移植患者がより長期に生存するようになった。しかし、長期生存者が着実に増加する一方で、移植対象疾患の根治が得られても、社会復帰までには移植後後期合併症に伴う生活の質の低下、不妊、二次がん、復職・復学の問題など多くの課題が残されていることが明らかとなってきた。そして、移植後の治癒の可能性を拡大するだけでなく、その質をしっかりと担保するフォローアップ体制を構築することが不可欠であると広く認識されるようになった。
     これを受けて2012年度の診療報酬の改定で、看護師を含むさまざまな職種の専門家による同種造血幹細胞移植患者の外来フォローアップ体制が「造血幹細胞移植後患者指導管理料」として算定されるようになった。この造血幹細胞移植後患者指導管理料の施設基準では、造血幹細胞移植に従事した経験を有し「移植医療にかかわる適切な研修」を修了した専任の常勤看護師の配置が求められ、日本造血細胞移植学会は、これまでの看護部会で行われた研修の質をさらに高めた「造血細胞移植後患者の外来におけるフォローアップにかかわる看護師」を対象とした研修会を開始した。この研修会は、単に施設要件を満たすための看護師研修ではなく、造血細胞移植後患者の外来でのフォローアップに継続的に加わり、そのさまざまな病態・問題に対して適切に指導・介入し、フォローアップの充実を図るとともに、医師の負担軽減にも貢献できる看護師を育成することを目的としたものである。
     本書籍は、この研修会の教科書として、2014年3月に初版が発刊された。そして、2014年以降のわが国における移植後合併症、生活の質、社会復帰に関するエビデンスを盛り込み、その内容をより充実させたのがこの改訂版である。少子高齢化が進むわが国においては、完璧な社会復帰を目標とした移植医療体制を構築することが切に求められている。是非、各施設での移植後外来フォローアップの看護に本書を役立てていただければ幸いである。

    2019年8月
    岡本真一郎
    高坂久美子
    森文子
    山花令子

  • 【内容目次】
    I章 総論
     1 造血細胞移植後患者の長期フォローアップとは
      A.移植後患者のQOLと長期フォローアップの必要性
      B.移植後患者指導管理料
       1.移植後患者指導管理料とは
       2.対象患者
       3.施設基準を満たす体制整備
       4.専門外来の設置
      C.移植後フォローアップ外来の開設・運営
       1.開設前の準備と開設後の運営
       2.関連部署や病院幹部の理解と協力の重要性
      D.移植後長期フォローアップ外来における看護師の役割
       1.移植後フォローアップ外来での看護介入の実際
      E.今後の課題
     2 同種造血細胞移植とチーム医療
      A.チーム医療とは
      B.チームの種類とその構成メンバー
      C.チーム編成に大切なこと
      D.チーム医療を成功させるポイント
      E.移植チーム医療における看護師の役割
     3 造血細胞移植後長期フォローアップ看護におけるセルフケア支援の考え方とアプローチ
      A.造血細胞移植後長期フォローアップ看護におけるセルフケア支援の意義(QOLの維持・改善)
      B.造血細胞移植後長期フォローアップ看護において有用なセルフケア支援の考え方とアプローチの実際
       1.患者と医療者の関係とセルフケア支援
       2.アドヒアランスに影響する要因を考慮する
       3.セルフケア支援に役立つ理論やモデル(セルフケア理論とIASM)
       4.セルフケア支援のための患者教育
       5.造血細胞移植後長期フォローアップ看護におけるセルフケア支援の実際
      C.セルフケア支援を通した移植後患者のエンパワーメント
       1.がん患者と家族のエンパワーメントのプロセス
       2.造血細胞移植後長期フォローアップで行う患者・家族のセルフケア支援
    II章 移植後合併症の基礎知識
     1 造血細胞移植後感染症の診断とマネジメント
      A.ヒトの免疫機構
       1.生理的バリア
       2.食細胞
       3.細胞性免疫
       4.液性免疫
      B.感染症
       1.細菌感染症
       2.真菌感染症
       3.ウイルス感染症
       4.ワクチン接種
     2 造血細胞移植後非感染性晩期合併症のスクリーニングと予防
      A.移植後晩期の予後と晩期死因
      B.皮膚
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      C.眼
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      D.口腔
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      E.呼吸器
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      F.消化管
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      G.肝臓
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      H.心血管
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      I.腎・泌尿器
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      J.神経・認知障害,易疲労
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      K.骨,筋肉
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      L.内分泌・代謝
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      M.性腺,不妊
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
      N.二次がん
       1.起こりうる主な病態・症状
       2.リスク因子と発症頻度
       3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
     3 慢性GVHDの診断とマネジメント
      A.慢性GVHDの臨床像と発症リスク因子
      B.急性GVHDと慢性GVHDの区別
      C.慢性GVHDの診断
       1.皮膚および皮膚付属組織(爪と毛髪)
       2.口腔
       3.眼
       4.消化管
       5.肝臓
       6.肺
       7.筋および関節
       8.生殖器
       9.その他
      D.慢性GVHDの重症度の評価
      E.慢性GVHDの治療
      F.慢性GVHD治療中の支持療法
    III章 移植後長期フォローアップの看護
     1 GVHDのアセスメントと看護ケア
      A.GVHDの看護
       1.GVHDに備える
       2.GVHDとつきあう
      B.GVHDのアセスメントとセルフケア支援
       1.GVHDのアセスメント
       2.アセスメントの実際
       3.各部位のセルフケア支援
     2 移植後患者のリハビリテーション
      A.造血細胞移植におけるリハビリテーション
      B.退院後の生活のためのリハビリテーション移行
       1.退院準備期
       2.退院後
       3.リスク管理
       4.リハビリテーションにおけるチーム医療
      C.症例をもとに考えるリハビリテーション
       1.症例1-1 体力低下
       2.症例1-2 体力低下
       3.症例2 末梢神経障害
       4.症例3 慢性GVHDによる皮膚硬化と関節可動域制限
       5.症例4 慢性GVHDによる呼吸困難
       6.症例5 ステロイドミオパチー
      D.LTFU外来看護師の役割
     3 小児移植後患者特有の課題とケア
      A.ライフサイクル,発達課題
      B.小児特有の課題~症例を通して~
      C.小児移植後患者の合併症
       1.内分泌合併症
       2.代謝合併症
       3.認知機能・学習機能への影響
       4.二次がん
       5.その他
      D.小児移植後患者のQOL
      E.患児とその家族への心理面への影響と介入
       1.移植を受けた子どものこころ
       2.移植を受けた子どもをもつ家族のこころ
       3.きょうだいへの支援
       4.同胞間移植を行った場合のドナー・親の心理社会的影響
      F.AYA世代の課題
       1.AYA世代における看護の観点
       2.長期フォローアップの必要性
      G.長期フォローアップ
       1.長期フォローアップ外来の実際
       2.長期フォローアップ外来の課題
     4 移植後長期フォローアップにおけるがんサバイバーシップの支援
      A.移植後患者とがんサバイバーシップ
       1.移植後患者とQOL
       2.がんサバイバーシップの考え方
       3.移植治療のその後を生きるということ
      B.移植後患者のがんサバイバーシップに関する問題・課題
       1.晩期障害/長期間にわたる身体的問題
       2.晩期障害/長期間にわたる心理・社会的問題
      C.移植後患者のがんサバイバーシップの支援の実際
       1.免疫不全状態が続くこと-感染症対策・感染予防-
       2.GVHDとつきあうこと
       3.晩期合併症に備え,対処すること
       4.社会とのつながりを取り戻すこと
       5.家族へのケア
       6.医療費の増大による経済的負担の軽減
      D.LTFU外来におけるがんサバイバーシップ支援における看護師の役割
    IV章 移植後長期フォローアップの実際
     1 移植後長期フォローアップ外来運営を支援するツール
      A.フォローアップ外来におけるツール使用の必要性
       1.移植後患者指導管理料新設後の移植後フォローアップ外来の現状
       2.移植後フォローアップ外来の実態把握のための聞き取り調査の結果から
       3.実態把握のための聞き取り調査から明らかになったツールの必要性
      B.移植後長期フォローアップ外来運営を支援すると考えられるツールとその有用
       1.患者問診票
       2.スクリーニング・指導項目リスト
       3.看護記録テンプレート
       4.患者用リーフレット
      C.フォローアップ外来における各ツールの活用の実際~国立がん研究センター中央病院の例~
       1.LTFU問診票:患者問診票
       2.LTFU外来記録シート:スクリーニング・指導項目リスト
       3.LTFU外来記録テンプレート
       4.LTFU外来リーフレット:患者用リーフレット
       5.NIH慢性GVHDの臓器スコア
      D.将来の展望
     2 外来面談・相談対応に活用できるコミュニケーション・スキル
      A.移植後長期フォローアップ外来で行われる面談の特徴と意義
       1.LTFU外来で展開される面談の特徴
       2.医師,その他の多職種とも情報共有し,方向性を確認すること
       3.限られた面談時間の中で行うこと
      B.移植後フォローアップ外来面談で活用できるスキルや考え方
       1.患者・家族の理解-情報を適切に収集し,アセスメントする-
       2.感情表出を促す-NURSEのスキルを活用する-
       3.さまざまな状況や立場を尊重する-アサーティブ・コミュニケーション-
       4.患者・家族の力を引き出す-コーチングによるエンパワーメント-
       5.倫理的課題に対応する感性を大切にする-臨床倫理の原則,Jonsenの4分割法-
    索引

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