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入門腫瘍内科学(改訂第4版)

編集:日本臨床腫瘍学会 

判型
B5
ページ数
344ページ
本体価格
3,600円
ISBN
9784524210756
発売日
2025年 3月 6日

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  • 内容紹介
  • 目次
  • 日本臨床腫瘍学会編集による,医学部生を主対象とした臨床腫瘍学の入門書の改訂第4版.各項の冒頭には要旨がわかる「summary」,末尾には「この項のキーポイント」を掲載し,理解しやすい構成が特徴.腫瘍学における基礎医学から診断・治療の総論,疾患各論までを網羅し,医学部生に必要な知識をわかりやすくまとめた.今改訂では同学会のテキスト『新臨床腫瘍学』の改訂内容を反映し,最新の内容を解説した.

    【改訂第4版 序文】 *抜粋・改編
     『入門腫瘍内科学』は,医学部で卒前専門教育を受ける医学生のためのテキストとして,2009 年10 月に初版が刊行されました.そして今回,最新の医学的知見を反映した改訂第4 版をお届けする運びとなりました.

     この間,がんの臨床医学は急速な進展を遂げてきました.分子標的治療,個別化治療,ゲノム医療,免疫チェックポイント阻害薬の進化に加え,ウイルス療法,CAR-T 細胞療法,抗体薬物複合体(ADC)療法,光免疫療法といった新たな治療法が登場し,臨床の現場での応用が広がっています.また,高齢者に特化した治療方針の確立や,小児・AYA 世代がん患者の長期フォローアップの重要性も,より強く認識されるようになりました.さらに,ロボット支援手術や粒子線治療などの先端的な外科療法および放射線療法の進歩,支持医療や緩和ケアの充実も大きな注目を集めています.さらには,COVID-19 パンデミックといった新たな課題も浮上しています.

     これらの状況を踏まえ,改訂第4 版では各項目で増補改訂が行われました.新設項目として,「総論5-6- E.新規治療」「総論5-8.高齢者の治療」「総論5-12.小児・AYA 世代のフォローアップ」を加え,「総論5-9.がんサポーティブケア(支持医療)」に「Onco-Cardiology」や「妊孕性」を含めました.一方,「各論3. 胸部腫瘍」と「各論11.造血器腫瘍」については,項目立てを整理し,若干簡素化しました.その他,コラムとして「総論5」に「感染症(COVID-19)とがん治療」を追加しました.

     本書は,学生の教科書として利用されることを目的としているため,より基礎的でわかりやすい入門書となるよう編集されています.各がんの概念,疫学,病理や臨床像,診断についての内容を充実させた一方で,複雑な病態や詳細な治療については言及していない場合もあります.本書のみで十分でない点については,『新臨床腫瘍学』(日本臨床腫瘍学会編集)をはじめとする専門的な教科書などを参考にしていただくことをお勧めします.

     今後も,本書を腫瘍内科学入門のための教科書として,より一層よいものにしていきたいと考えております.ご意見などを南江堂ホームページよりお寄せいただけましたら幸いです. 

    2024 年11 月
    『入門腫瘍内科学(改訂第4 版)』編集委員長
    木下一郎

  • 【書評】
    「これからがん診療に携わる医学生・若手医師のための,腫瘍内科学の理解を深めるための入門教科書」
     本書は,日本臨床腫瘍学会により編纂された,がん診療に関わる医学生・研修医を主な読者対象とした教科書である.本書は,「腫瘍内科学」という専門領域に初めて触れる学習者にとって最良の導入書となるべく企画され,2009 年のがん診療体制の転換期に初版が発行された.近年では,がん薬物療法の進歩,分子標的治療や免疫チェックポ
    イント阻害薬の登場,がんゲノム医療の実用化といった劇的な変化を受け,内容が大幅にアップデートされており,最新の改訂第4 版もその流れを反映したものである.

     腫瘍内科は,がん患者に対して薬物療法を中心とした全身治療を担う診療科であり,近年その専門性と重要性が飛躍的に増している.しかし,その一方で,医学部のカリキュラムにおける腫瘍内科の教育は依然として限られており,学生や初期研修医が臨床現場で戸惑うケースも少なくない.本書は,そうした現場のニーズに応える形で,がんの基礎知識から治療の実際に至るまでを網羅的かつ平易に解説し,学習者が“腫瘍内科的思考”を身につけるための橋渡しとなることを目的としている.

     構成は総論と各論からなり,総論では「がん」の基本的な概念,疫学,発生,診断,治療などが丁寧に解説されている.これにより,がんを臓器別疾患としてではなく,全身性疾患として捉える視点が養われる.各論では,臓器別腫瘍や随伴症状,緊急時対応について,がん患者をみる際の臨床現場で必要な知識を臓器横断的に学ぶことができる.各項目について,重要な知識がコンパクトに解説されていて,医学生・研修医の実践的理解
    に資する内容が豊富に盛り込まれている.

     本書のもう一つの魅力は,医学生や研修医が容易に理解できるように,全体を通じて視覚的に理解しやすい構成となっている点である.図表や模式図に加え,要点を明確に示した「キーポイント」がまとめられている.臨床実習の合間や国家試験対策にも使いやすく,学習効率の高い一冊といえる.読者の理解度をあげるために,工夫して執筆・編集された執筆ならびに編集委員の先生方に敬意を表する.

     総じて,『入門腫瘍内科学』は,がん診療に関心をもつすべての医学生・研修医にとっての必携の書であり,腫瘍内科学の扉を開く第一歩として最適な教科書である.将来的にがん診療に携わるか否かを問わず,現代医学を学ぶうえで「がん」を正しく理解することは必須であり,本書はそのためのたしかな羅針盤となる.

    臨床雑誌内科136巻3号(2025年9月増大号)より転載
    評者●砂川 優(聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座 教授)


    【改訂第4版 序文】
     『入門腫瘍内科学』は,医学部で卒前専門教育を受ける医学生のためのテキストとして,2009 年10 月に初版が刊行されました.本書は,がん医療の基本書として,医学生のみならず,研修医,薬剤師や看護師など,多くの医療者にも広く利用されてきました.初版刊行から6 年後の2015 年に改訂第2 版を,さらに5 年後の2020 年には改訂第3 版を出版いたしました.そして今回,さらに5 年の時を経て,最新の医学的知見を反映した改訂第4 版をお届けする運びとなりました.

     この5 年間,がんの臨床医学は急速な進展を遂げてきました.分子標的治療,個別化治療,ゲノム医療,免疫チェックポイント阻害薬の進化に加え,ウイルス療法,CAR-T 細胞療法,抗体薬物複合体(ADC)療法,光免疫療法といった新たな治療法が登場し,臨床の現場での応用が広がっています.また,高齢者に特化した治療方針の確立や,小児・AYA 世代がん患者の長期フォローアップの重要性も,より強く認識されるようになりました.さらに,ロボット支援手術や粒子線治療などの先端的な外科療法および放射線療法の進歩,支持医療や緩和ケアの充実も大きな注目を集めています.さらには,COVID-19 パンデミックといった新たな課題も浮上しています.

     これらの状況を踏まえ,改訂第4 版では各項目で増補改訂が行われました.新設項目として,「総論5-6- E.新規治療」「総論5-8.高齢者の治療」「総論5-12.小児・AYA 世代のフォローアップ」を加え,「総論5-9.がんサポーティブケア(支持医療)」に「Onco-Cardiology」や「妊孕性」を含めました.一方,「各論3. 胸部腫瘍」と「各論11.造血器腫瘍」については,項目立てを整理し,若干簡素化しました.その他,コラムとして「総論5」に「感染症(COVID-19)とがん治療」を追加しました.

     本書は,学生の教科書として利用されることを目的としているため,より基礎的でわかりやすい入門書となるよう編集されています.各がんの概念,疫学,病理や臨床像,診断についての内容を充実させた一方で,複雑な病態や詳細な治療については言及していない場合もあります.そのため,本書のみで十分でない点については,『新臨床腫瘍学』(日本臨床腫瘍学会編集)をはじめとする専門的な教科書などを参考にしていただくことをお勧めします.

     今後も,本書を腫瘍内科学入門のための教科書として,より一層よいものにしていきたいと考えております.講義や臨床実習などにご活用いただき,ご意見などを南江堂ホームページhttps://www.nankodo.co.jp/contact/contact.aspx)よりお寄せいただけましたら幸いです.

     最後に,本書の改訂にご協力いただいたすべての執筆者,編集者の皆様,そして出版に尽力いただいた関係者の皆様に深く感謝申し上げます.本書が今後の医学教育において,より一層役立つ教科書となることを願ってやみません.

    2024 年11 月
    『入門腫瘍内科学(改訂第4 版)』編集委員長
    木下一郎


    【初版 序文】 *抜粋・改編
     2007 年4 月施行された「がん対策基本法」にもとづき,文部科学省は卒前教育においてがんの全身療法をもりこんだコア・カリキュラムの改訂ならびに大学院における「がんプロフェッショナル養成プラン」を開始しました.一方,厚生労働省はがん診療連携拠点病院構想をたて,拠点病院のハード面,ソフト面の充実に着手しています.各大学の医学部はコア・カリキュラムの改訂に刺激され,また医療界,社会のニーズに応えるために臨床腫瘍学あるいは腫瘍内科学講座を開講し,その実習,実践の場として多くの大学病院に腫瘍センターあるいは化学療法センターが設置され,がんの教育,研究,診療の充実に向けて動き出しています.

     いままでの卒前教育では,各臓器・領域の悪性疾患について個々に学習してきましたが,これからは,がんの生物学から担がん患者の治療まで総合的に腫瘍学を学び,とくに全身療法としてのがん薬物療法や支持療法,緩和医療,インフォームド・コンセント,コミュニケーションスキルなど,がん医療の基本的な知識と技術を身につけることが求められます.そのためには学部学生に合った教科書が必要であり,日本臨床腫瘍学会は腫瘍内科学の入門編を作成し出版することにしました.

     執筆者には,全国の腫瘍内科学講座あるいは大学病院で,がんの診療・教育・研究に携わっている先生方にお願いしました.学部卒業までに最低限身につけておかなければならない内容を平易に簡潔に記載するようにお願いしましたところ,短い執筆期間にもかかわらず協力をいただき,速やかに出版までこぎつけることができました.執筆者の先生方に深く感謝いたします.

     また本書は,学生の教科書として利用されることを目的としているため,学生が勉強しやすい大きさで,しかも安価になるよう配慮し,学生にとってやや難しいところや詳細過ぎるところは平易に簡潔に書き直していただきました.そのため,本書だけでは満足できない学生・教員がいると思いますし,当然,複雑な病態や治療に関しては言及できない問題も出てきます.そういった場合には,日本臨床腫瘍学会編,がん薬物療法専門医のための専門書『新臨床腫瘍学』(南江堂発行)や関連文献を参考にして,もう一段上をめざした勉強を薦めます.

     今後,本書を腫瘍内科学の教科書として,よりよいものにしていきたいと考えております.講義やBSL 等で活用いただき,ご意見を編集委員会までメールにて送付いただければ幸いであります.

    2009 年9 月
    『入門腫瘍内科学』編集委員長
    田村和夫


    【目次】
    Ⅰ 総論

    1 日本のがん医療の現状と疫学
     1. 日本のがん医療と腫瘍内科学
     2. がんの疫学
     3. がんの予防と早期発見:検診,スクリーニング
     4. わが国のがん対策の動向
     5. 遺伝性腫瘍と遺伝カウンセリング

    2 腫瘍とは
     1. がんの病理学
      A 発生母地
      B 悪性度,分化度,異型性
      C 浸潤と転移,微小環境
     2. がんの分子細胞生物学
      A シグナル伝達
      B 細胞周期
      C 細胞死
      D エピジェネティック変化
     3. がんと免疫

    3 がんの発生(病因)とその特徴
     1. 遺伝的要因と環境要因
     2. 遺伝子の変化と多段階発がん

    4 がんの診断
     1. がん診断のアプローチ・考え方
     2. がんに関わる主要症候(がんの症候学)
     3. 腫瘍病理学(実践的な病院病理として)
     4. 病期決定
     5. 画像診断
     6. 内視鏡診断
      A 消化管内視鏡検査
      B 気管支鏡検査
     7. がんの分子診断
      A 腫瘍マーカー
      B 遺伝子・染色体診断
      C 予後因子,治療効果予測因子としてのバイオマーカー
      D がんゲノム医療

    5 がんの治療 88
     1. がん治療の考え方
     2. 外科療法
     3. 内視鏡治療
     4. 放射線療法
     5. インターベンショナル・ラジオロジー(IVR)
     6. がん薬物療法
      A 細胞障害性(殺細胞性)抗がん薬
      B 分子標的薬
      C 免疫チェックポイント阻害薬
      D 内分泌療法
      E 新規治療
       ウイルス療法,光免疫療法
       CAR-T 細胞療法,抗体薬物複合体療法
     7. 集学的治療
     8. 高齢者の治療
     9. がんサポーティブケア(支持医療,Onco-Cardiology,妊孕性など)
     10. チーム医療とリスクマネジメント
     11. がん患者の緩和ケアとサバイバーシップ
      コラム 感染症(COVID?19)とがん治療
     12. 小児・AYA 世代のフォローアップ
     13. 告知,倫理,インフォームド・コンセント,セカンド・オピニオン
     14. がん医療におけるコミュニケーション
     15. がんの臨床試験
     16. がんの診療ガイドライン
     17. がん診療における EBM の実践


    Ⅱ 各論

    1 消化管がん
     1. 食道がん
     2. 胃がん
     3. 大腸がん
     4. 消化管間質腫瘍(GIST)

    2 肝・胆・膵がん
     1. 原発性肝がん
     2. 胆道がん
     3. 膵がん

    3 胸部腫瘍
     1. 肺がん
     2. 胸膜中皮腫
     3. 縦隔腫瘍

    4 乳がん

    5 頭頸部がん

    6 婦人科がん
     1. 子宮がん
     2. 卵巣がん,卵管がん,腹膜がん

    7  泌尿器がん
     1. 腎細胞がん
     2. 尿路上皮がん
     3. 前立腺がん

    8   原発不明がん

    9  胚細胞腫瘍

    10 その他 227
     1. 骨・軟部腫瘍
     2. 悪性黒色腫,非黒色腫皮膚がん
     3. 中枢神経腫瘍
     4. 神経内分泌腫瘍
     5. 小児がん,思春期がん

    11 造血器腫瘍
     1. 白血病
      A 顆粒球系白血病
      B リンパ球系白血病
     2. 骨髄増殖性腫瘍,骨髄異形成腫瘍
     3. 悪性リンパ腫
     4. 形質細胞腫瘍

    12 腫瘍随伴症候群
     1. 内分泌症候群
     2. 血液学的随伴症候群
     3. 神経・筋腫瘍随伴症候群

    13 Oncologic emergency
     1. 心血管系
     2. 呼吸器系
     3. 消化器系(腔閉塞,瘻孔形成など)
     4. 中枢神経系(頭蓋内圧亢進,脊髄圧迫,がん性髄膜炎)
     5. 感染症
     6. 腫瘍崩壊症候群
     7. 免疫関連有害事象(irAE)

    14 転移がん
     1. 悪性胸水,悪性腹水
     2. 転移性骨腫瘍

    主な略語一覧表

    主な薬剤名一覧表

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