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ナニコレ?痛み×構造構成主義 痛みの原理と治療を哲学の力で解き明かす 

著:阿部 泰之 

判型
A5
ページ数
160ページ
本体価格
2,800円
ISBN
9784524265879
発売日
2016年 6月 9日

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  • 内容紹介
  • 目次
  • “構造構成主義”という哲学から痛みを捉えようとする新たな試みの書.構造構成主義を用いて理論的に痛みを解説し,さらに,理論を臨床に役立たせる実例も併せて提示.親しみやすいイラストで,痛みを“哲学”することをやさしく解説した.痛みを診るすべての医療者はもちろん,痛みを理解したい一般の方へもおすすめの一冊.

  • 【内容目次】
    はじめに(序章)
    本書の構成
    本書の読み方
    1章 痛みをめぐる様々な問題
     痛みとは何か
      痛みとルネ・デカルト
      痛みとルードヴィヒ・ウィトゲンシュタイン
     現代において痛みとは何か
      人が医療を求める一番の理由は“痛み”
      生物学的な視点から離れてみる
      現代医療では痛みは二の次?
      患者の期待を裏切る現代医療の枠組み
      困らない痛みと困る痛みがある
     いったい何が問題なのか
      痛みは科学的視点だけではよくできない
      人間はいつから痛みを「科学的」に捉え始めたのか~デカルトから読み解く
      「科学的」な視点で扱えるのは機械論的身体のみである
      痛みとは何か,それを“どう”考えたらよいか
     どうして哲学なのか
    2章 構造化に至る軌跡の提示としての自己開示:志向相関的自己開示
     自己開示をすることの重要性
     構造化に至る軌跡とは
      人間の意味や価値を研究する場合には条件開示が重要になる
      志向相関的自己開示
     志向相関的自己開示-痛みの理解と対応の遍歴
    3章 構造構成主義とは何か
     構造構成主義とは何か
      量的研究と質的研究の対立
      量的研究の背景は(論理)実証主義
      質的研究の背景は(社会)構築主義
      構造構成主義は違う世界観,世界認識を持つもの同士がわかり合うための理論
      構造構成主義は多元論
     原理とは
     構造構成主義の中核原理を理解しよう
      中核原理を理解する:(1)現象~立ち現れたすべてのもの
      中核原理を理解する:(2)志向相関性~受け取り方が変わると世界が変わる
      中核原理を理解する:(3)契機(相関性)~志向が生まれ,変わる「きっかけ」
      中核原理を理解する:(4)構造~契機志向相関的に構成され続けるもの
     その他の原理
     (5)戦略的ニヒリズム~あえてニヒルからスタートする
      そもそもニヒリズムとは
      あえてニヒルから始める
      構造構成主義における戦略的ニヒリズム
     (6)方法の原理~方法のよさは状況と目的によって決まる
     (7)問い方のマジック~どちらが正しいかという問いにはリスクがある
    4章 構造構成的痛み論
     国際疼痛学会「痛みの定義」にみる限界
      画期的な痛みの定義-国際疼痛学会
      国際疼痛学会が痛みに対する(論理)実証主義的視点を強めた?
      スローガンだけでは現場は変わらない
     新しい痛みの定義とその意義
      痛みとして立ち現れたすべては痛みである
      痛みとは構造である
     理論の賞味期限?~賞味期限の長い理論をベースに,賞味期限の短い理論を使い分ける
     慢性的に続く痛み≠慢性痛症
    5章 痛みという構造理解のための切り口(志向性)
     ここでいう“切り口”とは
     痛みに関する様々な切り口
      客観的実在としての“感覚”
      痛みと抑うつ
      オペラント学習
      アレキシサイミア
      転換性ヒステリー(転換性障害)
      認知の歪み
      痛がりの遺伝子
      痛みの感じ方=閾値
      痛みを引き起こす社会背景
      痛みの“意味”
      愛は痛い人を救う?
    6章 治療論に入る前に-「他者承認の原理」を知る
     治療論に入る前に
      原理を実践に落とし込むための乗り越えるべき壁
      「信じる」こと,「覚える」ことの不安定さ
     人間関係の原理としての他者承認
      他者とは何か~フッサールとレヴィナスの「他者論」より
      他者承認の原理~他者からの応答により他者が生起する
     対人援助の原理としての他者承認
      援助する者とされる者との不均衡さを認めよう
      ある医学生との対話から~他者承認の原理を身につけるには
      ユマニチュード~臨床における他者承認の具体的な現れ
    7章 原理を実践に活かす-構造構成的慢性痛症治療
     志向を捉えて“よき”構造を構成する
     痛みの意味づけを変えるということ~中村さんの例より
      構造(痛み)に働いている志向(背景,意味づけ)を探る
      痛みの意味づけを変えていく
     構造をなくしてしまうのではなく,構造を望ましいものに構成しなおす
     治療関係の“形”をつくる
      形(1)「まな板の上の鯉」スタイル
      形(2)「いっしょに痛みをやっつけよう」スタイル
      形(3)「私はあなたのガイド」スタイル
      鍼灸治療は「ガイド」スタイル?
     診断名をつけない!?
      診断名=名づけをしない
      名づけは恣意的である
      診断名は思考をしばる
     構造を意識させる~どんな言葉を投げかけるか
      「痛みの悪循環を断つ」
      「痛みの記憶(記憶としての痛み)」
      「現に痛みはある」
      「梅干しを想像してみて」
      「うまくやれていますね」
     契機としての薬物療法
      薬物療法は契機である
      以前効かなくても,今なら効くことがある
      対病名ではない薬剤選択
      薬剤をいつやめるか~オピオイドを例として
      薬物療法はバランスゲーム
     構造構成的慢性痛症治療の実践例
     nihilistic painの解明~これからの展望として
      現代人のニヒリズム
      痛みの臨床で見られるニヒルさ~nihilistic pain
      これからの展望~ニヒルさの緩和の効能は医療に限らない
    あとがき
    謝辞

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