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【書店様向け】注文書作成

ようこそ緩和ケアの森  オピオイドの使い方

監修:森田達也 編集:柏木秀行 著:中山隆弘 著:名越康晴 著:平塚裕介 

判型
A5
ページ数
192ページ
本体価格
2,500円
ISBN
9784524232758
発売日
2023年 6月 28日

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注文書作成

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  • 内容紹介
  • 目次
  • 緩和ケアという森にはさまざまな木(テーマ)が生えている.そんな森に足を踏み入れようとしているあなたに,初心者時代の記憶新しい著者らが記す,<緩和ケアの“超入門書”シリーズ>!!
    本巻ではオピオイドの基本から使い方を嚙み砕いて解説.使用の手順・考え方,副作用マネジメント,困ったときの対応,他職種との連携を軸に記し,一見とっつきにくいオピオイドがより身近に感じられる.

    【書評】
     「ようこそ緩和ケアの森」のシリーズ5 冊をはじめてみた瞬間,緩和ケアで主となる5 つのテーマと,かわいさに心打たれました.5 冊並べるとかわいい動物がいて,「森」になりました.シリーズ監修を務めている森田先生の「森」のイメージで,森田先生の隣人愛があふれるシリーズです.5 冊ともに森で住むかわいい動物が記載されており,見るだけでとてもほっとし,緊張感が和らぎ,すぐに愛着がわきました.

     今回は,シリーズの1 冊である『オピオイドの使い方』を紹介します.私が,病院に就職したときより,現在使用できるオピオイドの種類が増えました.経口薬や注射薬も1 つから複数併用,多くのオプションがあるので,がん疼痛緩和が実現できる時代になったと感じています.がん疼痛緩和に携わったばかりの方は,種類が多く,勉強することが多いかと思います.本書籍では,かわいいうさぎが,「これで脱・初心者 つまずきやすいポイント」について箇条書きでまとめてくれており,初心者が最低限学ぶポイントがわかりやすく理解できます.

     私が,個人的に気に入っている箇所は,「Dr森田より」で,ふくろうがちらっと見ている吹き出しです.吹き出しでは,よくあるコツや豆知識が記載してあり,経験豊富な方でも共感する部分が多いのではないでしょうか.この吹き出しだけを読んでも,興味深くて読み進んでしまいます.「アンペックは,在宅で半分から1/3を使ってみる」とか,「オピオイドの退薬症状は,wet 症候群と覚える」など,経験豊富なコメントが満載で面白いです.

     さらに,「私のプラクティスやさらにレベルアップした人のため」の情報とし,著者の臨床実践やエビデンスが記載されています.ガイドラインや教科書には記載できないことも,しっかりしたエビデンスとともに記載されており,臨床現場で実践するための内容や患者さんのQOL に有益な内容を知ることができ,どれも「なるほど,なるほど」と感心することばかりです.

     すべての内容が患者さんに役立つものばかりのため,ぜひ,がん患者さんや非がん患者さんにかかわらず,緩和ケアに携わる方にお勧めしたい書籍です.

    がん看護29巻2号(2024年5-6月号)より転載
    評者●林 ゑり子(藤沢湘南台病院看護部,横浜市立大学医学部看護学科)

  • 【はじめに(序文)】
    はじめに

     「オピオイドの使い方」については,緩和ケア領域に限らず,多くの本が出版されています.そこで本書は,オピオイドをどの疾患に対しても使えるように,なるべく平易に,若手目線でまとめてみました.筆者3名はそれぞれバックグラウンドが異なることから,バランスのとれた内容となり,ほんの数年前まで後期研修医だったことからも,若手の「困った」に則した内容になっていると思います.
     全国の多くの医師が受講することとなる,PEACEプロジェクトの緩和ケア研修会よりは深く学べる内容にしつつも,決して難しすぎず,緩和ケアの専門家の「考え方」をまとめてあります.また,私たち緩和ケア医が大切にしている多職種との連携・コミュニケーションの部分も記載に盛り込みました.オピオイドを通して,緩和ケア医がどのように多職種チームと関わっているかの一端が覗けるかと思います.
     本書を刊行するまでにご助力いただいた方々,とくに制作過程でご意見をくださった,少し先輩の柏木秀行先生,大先輩の森田達也先生,また筆者らを粘り強く支えてくれた南江堂の方々に心より感謝申し上げます.
     最後に,緩和ケアに携わる多くの医療者に本書を手に取っていただき,患者さんとご家族が苦痛から解放される一助として,本書が役立てば大変うれしく思います.

     2023年6月
     執筆者一同


    【書評1】
    「オピオイドの使い方に「慣れていない方」にも「ちょっと自信がある方」にもお勧めの一冊」
     オピオイドはさまざまな臨床現場でよく使用されている薬剤である.しかし,どのオピオイドをどのように使えばよいかよくわからない方,副作用のマネジメントに不安を感じながら使用している方,患者さんやご家族への説明がうまくできないと感じている方,よく使用しているもののオピオイドの知識が曖昧だと感じている方,も多いであろう.本書は,このような方々には紛れもなくお勧めの一冊である.そして,オピオイドの使用には少し自信があるものの,実はきちんと勉強したことがない方にとっても,実践で役立つ知識が散りばめられている一冊であり,ぜひとも読んでいただきたい.
     本書では,オピオイドの使い方に関連した内容に特化して解説されている.オピオイドの概要や使い分けなどの「これだけは」という基本的な知識から始まり,実際に使用するにあたっての具体的な方法や注意点,副作用への対策,迷ったときの対応法,多職種連携,といった内容で構成されている.オピオイドを使用する際に重要なことについて,抜けがなく,またわかりやすく,臨床現場での実践に即して記載されており,本書を一通り読み終えると,オピオイドの使い方がよくわかり,読者の実践に直結するであろう.初心者のつまづきやすいポイントが各項の初めにまとめて記載されており,まずはどういったことが重要なのかをしっかりと意識することができる.また,著者らの経験に基づいた実臨床での考え方や工夫,そして失敗談が本文の内容を補うように記載されており,小生も経験したような事例も紹介されている.こうした実臨床におけるちょっとした考え方や工夫は成書ではなかなか学びにくいことであるし,実際の失敗談は成功談以上に役立つものである.本書は,読者を飽きさせない構成で,かつ全体的に簡潔にまとまったわかりやすい解説がなされており,さらっと通読できる.また,疑問や不安が生じたときに,気になる箇所をあらためて確認することにも適している.
     また,シリーズ監修の森田達也先生による“合いの手”には,昔のことや豆知識,注意点が記載されており,若手と自称(?)する著者らの記載内容をうまく補完する形で絶妙なバランスとなっている.一度通読した後は,この合いの手を拾い読みしていくのもおもしろいかもしれない.そして,紙面に登場するウサギ,フクロウなどの動物たちにも癒されながら,その表情やしぐさに注目するのも楽しみ方の一つだと思う(個人的には,リスかウサギか迷うイラストがあり,どちらなのか気になっている……).
     本書は,可愛らしいカバーデザインと動物たちの姿,丁寧な言葉づかいについ油断しそうになるが,「オピオイドがこわくなくなる」内容が詰まった良書である.

    臨床雑誌内科133巻4号(2024年4月号)より転載
    評者●松本禎久(がん研究会有明病院緩和治療科 部長)



    【書評2】
     「ようこそ緩和ケアの森」のシリーズ5 冊をはじめてみた瞬間,緩和ケアで主となる5 つのテーマと,かわいさに心打たれました.5 冊並べるとかわいい動物がいて,「森」になりました.シリーズ監修を務めている森田先生の「森」のイメージで,森田先生の隣人愛があふれるシリーズです.5 冊ともに森で住むかわいい動物が記載されており,見るだけでとてもほっとし,緊張感が和らぎ,すぐに愛着がわきました.

     今回は,シリーズの1 冊である『オピオイドの使い方』を紹介します.私が,病院に就職したときより,現在使用できるオピオイドの種類が増えました.経口薬や注射薬も1 つから複数併用,多くのオプションがあるので,がん疼痛緩和が実現できる時代になったと感じています.がん疼痛緩和に携わったばかりの方は,種類が多く,勉強することが多いかと思います.本書籍では,かわいいうさぎが,「これで脱・初心者 つまずきやすいポイント」について箇条書きでまとめてくれており,初心者が最低限学ぶポイントがわかりやすく理解できます.

     私が,個人的に気に入っている箇所は,「Dr森田より」で,ふくろうがちらっと見ている吹き出しです.吹き出しでは,よくあるコツや豆知識が記載してあり,経験豊富な方でも共感する部分が多いのではないでしょうか.この吹き出しだけを読んでも,興味深くて読み進んでしまいます.「アンペックは,在宅で半分から1/3を使ってみる」とか,「オピオイドの退薬症状は,wet 症候群と覚える」など,経験豊富なコメントが満載で面白いです.

     さらに,「私のプラクティスやさらにレベルアップした人のため」の情報とし,著者の臨床実践やエビデンスが記載されています.ガイドラインや教科書には記載できないことも,しっかりしたエビデンスとともに記載されており,臨床現場で実践するための内容や患者さんのQOL に有益な内容を知ることができ,どれも「なるほど,なるほど」と感心することばかりです.

     すべての内容が患者さんに役立つものばかりのため,ぜひ,がん患者さんや非がん患者さんにかかわらず,緩和ケアに携わる方にお勧めしたい書籍です.

    がん看護29巻2号(2024年5-6月号)より転載
    評者●林 ゑり子(藤沢湘南台病院看護部,横浜市立大学医学部看護学科)


    【目次】
    第1章 オピオイド,まずこれだけは
     1. 概要と使い分け
     
    第2章 実際に使ってみよう
     1. オピオイドを始めるとき
     2. 内服できなくなったとき
     3. オピオイドスイッチング
     4. どうする? 突出痛
     
    第3章 どうする? 副作用
     1. 眠気・せん妄への対応
     2. 悪心・嘔吐への対応
     3. がんこな便秘への対応
     4. マイナーなオピオイドの副作用対策
     
    第4章 こんなとき,どうする?
     1. 救急室・初療室でのとりあえずの対応
     2. 痛みが治まらないとき
     
    第5章 心強い連携
     1. こんなときは薬剤師に相談しよう!
     2. 看護師と一緒に取り組むべきこと

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